Dynatraceは、ここ数年でGrailでのデータ管理や新UI/アプリ提供、ライセンス体系の変更(DPSライセンス)等、目まぐるしく状況が変わってきています。
単なる情報表示だけではなく、リアルタイム性、インタラクティブ性、そしてAI活用による予測・洞察機能を備え、ユーザーが直感的にデータを理解し、迅速な意思決定を実現しやすくするための機能を提供しています。
そこで、今回からしばらくの間、最新機能のご紹介をさせていただきます。
今回のテーマは、Dashboards/Notebooksです。
従来のダッシュボード(Dashboards Classic)が改良され、柔軟かつ直観的な視覚表現やAI利用による予測の表示ができるようになったり、ダッシュボードを起点としたシームレスなドリルダウンや各アプリとのコラボレーションにより、効果的なデータビジュアライゼーションを提供できるようになったりしています。
DashboardsとNotebooksでは、以下の機能が新たに利用可能となり、より柔軟かつ効率的なデータ活用が可能になりました。
・多様なデータソースへの対応
メトリクス、ログ、トレース、イベントなど、複数のデータタイプを統合的に扱えます。
・柔軟な表示形式
タイル形式により、グラフ、テーブル、チャートなど、目的に応じた可視化が可能です。
予測線の表示など、高度なグラフ表現にも対応しています。
・高度なカスタマイズ
Dynatrace Query Language(DQL)を活用することで、フィルターやデータ結合など、複雑な分析要件にも柔軟に対応できます。
DashboardsとNotebooksの画面遷移手順は以下の通りです。
Dashboards :[Apps] > [Dashboards]
Notebooks:[Apps] > [Notebooks]
DashboardsとNotebooksには、更新タイミングやコスト面で明確な違いがあります。
特にスキャンコストの違いは、機能的な仕組みの差に起因しています。
・Dashboards
クエリのみを保存しており、表示のたびにクエリが実行されるため、リアルタイムでの自動更新が可能ですが、
その都度スキャンコストが発生します。モニタリング用途に適しています。
なお、Dashboardsでは自動更新をオフにする設定も可能なので、必要に応じてコストを抑える運用もできます。
・Notebooks
クエリだけでなくその結果データもノートブック内に保存されるため、表示時に再実行されることはなく、
手動実行の[Run]したときのみ更新・スキャンコストが発生します。分析やレポート作成に向いています。
機能 |
Dashboards |
Notebooks |
更新タイミング |
表示時にリアルタイム更新、 設定に基づく定期的な自動更新 |
手動実行[Run]時のみ更新 |
主な用途 |
モニタリング、リアルタイム可視化 |
分析、レポート作成 |
コスト影響 |
表示のたびにスキャンコストが発生 |
実行時のみスキャンコストが発生 |
#73-DashboardsとNotebooksの違い
リアルタイム性が求められるダッシュボード用途にはDashboards、コスト効率や分析精度を重視するレポート用途には
Notebooksの使用を推奨します。特に、障害調査時にログやイベントデータを参照して共有するような場合は、
スキャンコストの観点からNotebooksで結果を参照するような運用が望ましいです。
ログやイベントデータを用いた分析には、Notebooksの利用が推奨されます。
APIを活用することで、日次・月次などの定期的な自動更新が可能です。
Dashboardsは表示のたびにデータをスキャンするため、ログやイベントデータを扱う場合はスキャンコストが
かかることにご注意ください。
特に、共有されたユーザーがDashboardsを開くたびにスキャンが発生するため、利用頻度が高い場合はコストが増加します。
Notebooksで活用できるDynatraceのForecastは、システムのメトリクスやトラフィックの傾向をもとに、将来の動作や負荷を予測する機能です。
DynatraceのAI エンジンであるDavis AIが過去のデータを分析し、季節性や変動パターンを考慮して将来の数値を推定します。
Notebooks活用の一環として、ぜひ Forecast機能をご活用ください。
作成したグラフの[Options] > [Davis AI]トグルを有効にし、Analyzersから[Forecast]を選択します。
その後、[▶実行]をクリックしてください。
旧ダッシュボードのアップグレード方法は以下の通りです。
詳細については、Dashboards ClassicからDashboardsへのアップグレードを参照してください。
Upgrade Dashboards Classic to Dashboards
新しいDashboardsとNotebooksは、リアルタイム性やAIによる予測表示、柔軟な可視化・分析機能を備え、より直感的なデータ活用を可能にしています。
Davis CoPilotの支援により、誰でも簡単に高度な分析ができる環境が整っており、業務の効率化にもつながります。
目的に応じた使い分けとコスト管理を意識することで、よりスマートな運用が実現できます。
次回も、引き続きDynatraceの最新機能の情報をお届けしてまいります。