前回(#73 新Dashboards/Notebooksのご紹介)に引き続き、今回もDynatraceの最新機能をご紹介します。
今回取り上げるのはアプリ「Distributed Tracing」です。
トレース分析の自由度が大きく広がり、従来の分析ではあと一歩届かなかった部分に手が届くようになったイチオシ機能です。
Dynatraceは長年、APM(アプリケーションパフォーマンス管理)分野のリーダーとして業界を牽引してきました。
特にアプリケーション処理の流れを可視化する「トレース取得」の技術には定評があり、期待している方も多いのではないでしょうか。
一方で、Dynatraceを使いこなしている方の中には、「取得したトレースをもっと柔軟に検索・可視化できたら…」と感じたことがある方がいらっしゃるかもしれません。
そんな方に朗報です。
Distributed Tracingが登場し、トレース分析の自由度が大きく広がりました。
[アプリ] > [Distributed Tracing]よりご利用いただけます。
従来のServiceの詳細ページや多次元分析では、 検索条件やグルーピング対象が限られており、細かい分析には工夫が必要でした。
Distributed Tracing では、「この条件で絞りたい」「この項目でまとめたい」といったニーズに、より直感的に応えられるようになりました。
具体例を以下に示します。
従来のServiceの詳細ページや多次元分析でもフィルター機能がありましたが、完全一致の必要がありました。
Distributed Tracing ではワイルドカード(*)や除外(!=)指定が可能です。
従来のServiceや分散トレース、多次元分析よりもさらに多くのメタデータを一覧表示できるようになりました。
表示項目は[xxx columns hidden]というボタンから取捨選択します。
例えば、従来のServiceの詳細ページや多次元分析では、Dimensionに表示することしかできなかったRequest attributeを別の列に表示できるようになりました。さらに、多次元分析ではドリルダウンでしか表示できなかったException messageも一覧に表示可能です。
デフォルトではトレース1件1件が表示されますが、[Group by]からグルーピング可能です。
表示させているすべての項目がグループ化の対象となります。
Dashboads Classicでは多次元分析を貼り付けることができませんでしたが、新Dashboards /NotebooksではDistributed Tracing の分析結果を貼り付けることができます。
操作も[Open with]から新Dashboards /Notebooksを選択するだけで非常に簡単です。
なお、新Dashboards /Notebooksに貼り付ける場合、クエリ実行に伴うライセンス消費が発生します。
詳細は担当SEにお問い合わせください。
・Distributed Tracingの利用には、DPS ライセンスが必要です。クラシックライセンスではご利用いただけません。
・表示できるトレースデータの範囲は、保存期間に依存します。デフォルトの保存期間は10日間となっており、それ以前のデータは表示されません。DPS ライセンスをご利用の場合は、保存期間の延長が可能です。(保存期間の延長には追加のライセンス消費が発生します。)
・Distributed Tracingで検索する限りはライセンス消費が発生しません。しかし、新Dashboards /Notebooksに貼り付ける場合、クエリ実行に伴うライセンス消費が発生します。詳細は担当SEにお問い合わせください。
Distributed Tracingは、Dynatraceの強みであるトレース取得をさらに活かすための新しい可能性を広げています。
従来の制限を超えた柔軟な検索・可視化が可能になり、“痒い所に手が届く”存在として、より深い分析を支援してくれます。
一方で、自由度が高くなった分、「どのデータをどう表示すればよいか」「どんな条件で絞り込むべきか」など、迷う場面もあるかもしれません。そんなときは、ぜひIIMの担当SEにご相談ください。導入から活用まで、しっかりとご支援いたします。
次回も、Dynatraceの最新機能の情報をお届けしてまいりますのでご期待ください!
Distributed Tracing — Dynatrace Docs