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デジタルトランスフォーメーション(以降DX)の進展に伴い、企業におけるデータ利活用が盛んに行われ、データへの依存が非常に大きくなってきています。
これは各企業にとって、データおよびデータ保護の重要性が大きくなっていることを意味します。
データ保護の手法として古くから存在しているものがバックアップですが、この方法は急速に進化しております。
過去から現在にかけてのバックアップの進化の歴史と、今後の未来への展望についてご説明させていただきます
過去のバックアップ手法
データのバックアップはDX化が進む以前から存在し、テープ装置や外部ドライブを使用してデータを手動で複製する方法が一般的でした。
この方法は、データの紛失やハードウェア障害からの復旧などに適しているものの、手動の作業に起因するヒューマンエラーのリスクがついてまわりました。
そのため、ファイル単位のバックアップが主流となり、システム復旧にはある程度のスキルが求められました。


汎用機から始まるバックアップの歴史
オペレーションの自動化
OS標準のバックアップ機能とは別に、サードパーティーメーカーによるバックアップの自動化や、テープライブラリーを使用できるようになったことで、複数メディアのバックアップの世代管理などが、操作に慣れていない方でも簡単にできるようになりました。
対象システムやデータベースの変更があっても、定期的に一貫性のあるバックアップが自動的に行われることで、人為的なミスのリスクが低減したと同時に、データの復元が効率的かつ迅速に行えるようになり、ビジネスの中断時間が著しく短縮されました。
イメージバックアップの台頭
現在では当たり前となっているイメージバックアップですが、システムを含めたバックアップを取りたいという需要があり、レガシーな「ファイルバックアップ」では前述のとおりスキルを求められることから、管理者の俗人化を促進する要因となっておりました。
「イメージバックアップ」はシステムの複製が容易なことから、サーバの完全な復元や、障害からの復旧も容易となっています。
この技術が確立されてから、重要なシステムへのイメージバックアップの導入が普及しました。


イメージバックアップ


ファイルバックアップ
クラウドバックアップ
近年はクラウド技術の進化と普及によって、クラウドへのバックアップを利用する企業も増えてきております。
データとバックアップをクラウド上で管理することで、データ保護への柔軟性が向上します。
ここ数年は新型コロナウイルスの影響もあり、クラウド上へのバックアップは、テレワークや、リモートワークで使用するクライアントPCのデータ保護としても活用されています。
クラウドバックアップはオンプレミスとは異なり、スケーラビリティが高く、必要なリソースのみの利用が可能であるため、コスト効率の面から見ても良いソリューションです。


クラウドバックアップの利点
バックアップのセキュリティ強化
データの重要性と共に、セキュリティ強化の需要も高まっております。
バックアップデータのセキュリティは特に重要で、エンドツーエンドの暗号化や、アクセス制御の強化を行うことが一般的です。
併せて、多要素認証や、セキュリティ証明書の活用などを導入いただくことで、データの安全性が向上します。


バックアップのセキュリティ強化について
テクノロジーの未来への影響
近年は、人工知能(AI)と機械学習(ML)の活用により、データの最適化やセキュリティ対策がより強化され、異常なアクティビティの早期発見や、バックアップ実施の際に管理者への通知を実装できるソリューションも出てきております。
バックアップはデータ保護だけではなく、データ管理の効率化も考慮されるようになってきました。
未来への展望: データ管理とアナリティクス
バックアップの進化はまだまだ止まりません。
データ管理および、アナリティクスが新たなフロンティアとなるでしょう。
これにより、データの分類や、重要度の評価が更に向上して、バックアップの最適化が可能になります。
不要なデータの削減やストレージの効率的な利用が進み、データ保護の新たな次元が拓かれることでしょう。
弊社は、性能分野だけでなく、バックアップ・データ保護の専門家集団でもあります。
今後も最新情報をご案内させていただく所存です。
引き続きよろしくお願い申し上げます。

執筆者
田口 学
営業技術本部 戦略ビジネス統括部 セキュリティ営業部
IIMお客様担当営業経験後、2010年に現セキュリティー部門に異動。個人情報保護法、JSOX法の対策でセキュリティ・コンプライアンスのソリューション提案を数多く経験。PAM、IAM、IGAなどエンタープライズ企業向けID管理に従事。レジリエンス対策でクラウドバックアップ・BCPも担当。
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